手続き・処分

親の車をどうする|免許返納・施設入所・死後の処分と名義変更

📖 読了目安:約7分 🗓 更新日:2026年6月

実家の駐車場で、車だけが静かに残っている

親が運転をやめた。施設に入った。あるいは亡くなった——。そのとき、実家の駐車場やガレージには、もう動かない車が一台残されます。エンジンをかける人はいないのに、毎年の自動車税は届き、車検は近づき、保険の更新案内も来る。「いつか考えよう」と思っているうちに、放置された車はバッテリーが上がり、タイヤが劣化し、ますます扱いに困る状態になっていきます。多くのご家族が、この「乗らなくなった車」の処理を後回しにしがちです。

車の処分や名義変更は、タイミングによって手続きが変わります。親が元気なうちに動くのか、施設入所のタイミングなのか、亡くなった後なのかで、必要な書類も、できる人も、かかる手間も大きく違ってきます。なかでも亡くなった後は「相続」が絡むため、生前に済ませておくほうが圧倒的にラクなケースが少なくありません。ここでは、状況別に「車をどうするか」を整理し、後悔しないための進め方をお伝えします。なお、金額や税の扱いはあくまで目安であり、車種・地域・年式・契約内容によって変わります。最終的な判断は、ディーラーや買取業者、自動車税の窓口、行政書士など専門家への確認をおすすめします。

親御さんが大切にしていた車を手放す決断は、簡単なものではありませんよね。あなたのその迷いは、優しさそのものです。

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そもそも「乗らない車」を持ち続けるリスク

手続きが面倒で、つい現状維持を選びたくなります。けれど、乗らない車を名義そのままで置いておくと、いくつかの負担が静かに積み重なります。まず自動車税(種別割)は、4月1日時点で車を所有していれば、その年度ぶんが課税されます。乗っていなくても、廃車や名義変更・抹消登録をしない限り、毎年支払い続けることになります。

さらに、任意保険を解約せず放置すれば保険料がかかり続け、車検が切れた車を公道に置いておくこと自体にも注意が必要です。盗難やいたずら、災害時の被害といったリスクもあります。「とりあえず置いておく」が、実は一番コストのかかる選択になってしまうことが多いのです。乗る予定がないと分かった時点で、早めに方針を決めるのが結果的にいちばん負担を減らします。

処分の4つの選択肢|売却・買取・廃車・譲渡

「処分」と一口に言っても、車の状態や残価値によって取るべき方法は変わります。代表的な4つの選択肢を整理します。どれが向いているかは、年式・走行距離・車検の残り・故障の有無によってケースバイケースです。

  1. 下取り・売却(まだ価値がある車)

    年式が新しめで動く車なら、買取業者やディーラーで売却するのが基本です。複数社で見積もりを取ると差が出ることがあります。値がつけば、税や保険の負担からも解放されます。

  2. 買取専門店に相談(古い・過走行でも)

    古い車や走行距離が多い車でも、海外需要や部品取りで値がつく場合があります。「どうせ値段はつかない」と決めつけず、無料査定だけでも受けてみる価値はあります。

  3. 廃車(動かない・価値がない車)

    故障や事故で動かない車は、廃車(解体・抹消登録)が選択肢です。引取りや手続きを代行する業者もあります。条件によっては還付される税金がある場合もあるため、業者に確認を。

  4. 家族・知人への譲渡

    子や孫など身近な人が引き継いで乗る場合は譲渡という形になります。この場合も必ず名義変更が必要です。名義を放置すると、税や事故時の責任が親(または故人)に残り続けます。

どの方法を選ぶにしても、共通して大切なのは「名義をそのままにしない」ことです。所有者の名義が親や故人のままだと、税の請求も、万一の事故の責任も、その人に紐づき続けます。手放す・譲るのどちらでも、名義の整理までをワンセットで考えてください。

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名義変更の手続き|生前と相続でこんなに違う

名義変更(移転登録)は、誰が・いつ行うかで難易度が大きく変わります。ポイントは、親が元気なうちに動けば手続きはシンプル、亡くなった後だと「相続」として扱われ書類が一気に増える、という点です。

生前であれば、原則として本人の意思で売却・譲渡ができ、印鑑証明書や委任状などを用意すれば比較的スムーズに進みます。一方、親が亡くなった後の車は「相続財産」となり、誰が引き継ぐか、あるいは売却して代金を分けるかを相続人で決めたうえで、戸籍謄本や遺産分割協議書などをそろえる必要があります。相続人が複数いれば全員の合意・書類が必要になり、放置するほど手続きは複雑化します。だからこそ「乗らないと決まった車は、できれば生前に整理しておく」ことが、家族の負担を軽くする鍵になります。

ただし、認知症などで親本人の判断能力が低下している場合、生前であっても本人による売却・名義変更が難しくなることがあります。その際は成年後見制度などの利用を検討する必要が出てくるため、迷ったら早めに専門家や公的窓口に相談してください。手続きの細部は陸運局(運輸支局)や軽自動車検査協会、行政書士に確認するのが確実です。

自動車保険と自動車税は、どう扱えばいい?

車を手放す・乗らなくなるときに見落とされがちなのが、任意保険(自動車保険)の扱いです。車を売却・廃車したら、加入している任意保険は解約や中断の手続きが必要です。とくに「中断証明書」を取得しておくと、等級(割引の度合い)を一定期間保てる場合があり、将来また車に乗るときに有利になることがあります。家族が車を引き継ぐ場合に等級を引き継げるケースもあるため、解約前に保険会社へ確認しておくと安心です。

自動車税については、前述のとおり4月1日時点の所有者に課税されます。年度の途中で廃車(抹消登録)すると、普通車では残りの月数に応じて税が還付される仕組みがある一方、軽自動車では扱いが異なるなど、車種によって違いがあります。いずれも金額や条件はケースによるため、お住まいの自治体や運輸支局の窓口で確認してください。「乗らないのに税金だけ払い続けている」状態を早く抜け出すことが、家計の無駄をなくす近道です。

施設入所・死後、それぞれのタイミングで考えること

施設入所をきっかけに車を手放すご家族は多くいます。本人が「もう運転はしない」と納得していても、長年の愛車を手放すことには心理的な抵抗が伴うものです。無理に急がせず、「税や保険の負担が続くこと」「動かないと車も傷むこと」を一緒に確認しながら、本人の気持ちに配慮して進めてください。施設入所のタイミングは、生前に名義や処分を整理できる貴重な機会でもあります。

亡くなった後は、葬儀や各種手続きに追われるなかで、車の処分はどうしても後回しになりがちです。しかし放置すると税の請求は続き、名義変更には相続人全員の関与が必要になります。落ち着いてからで構いませんが、「相続財産の一つ」として早めにリストアップし、ほかの相続手続きとあわせて進めておくと、後々の負担がぐっと軽くなります。何から手をつけるか分からないときは、ひとりで抱え込まず、相談できる窓口を頼ってください。

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