出勤前に親の様子を確認し、仕事中もスマホが鳴るたびケアマネージャーか病院かと身構え、退勤後はそのまま実家へ向かう。会議中も上の空になり、休憩時間は着信履歴の確認に消えていく——気づけば自分の時間も体力も後回しにしたまま、「親の介護と仕事の両立はもう無理かもしれない」と感じている。そんな毎日の中でこの記事にたどり着いた方も、少なくないはずです。
まず、はっきりさせておきたいことがあります。しんどいのは、あなたの要領が悪いからでも、我慢が足りないからでもありません。親の体調も、デイサービスの空き状況も、突然の入院も、こちらの都合では動いてくれません。それを仕事の予定と同時に受け止め続ければ、体力より先に判断力から削られていくのは当然のことです。ここまで一人で回してこられたこと自体が、すでに簡単なことではありません。
そのうえで知っておいてほしいのは、「辞めるかどうか」を決める前に、まだ試せる選択肢が残っているということです。国の制度、職場との調整、外部サービス——この三つを組み合わせて両立を続けている人は、思っている以上にいます。ここから先で、実際に使える制度と相談先を順番に整理してお伝えします。
⚠️ 追い詰められた状態で退職を決めてしまうと、収入が途絶えるだけでなく、その後の再就職や老後の年金にも影響が及びます。「もう辞めるしかない」と心が決まりかけている今だからこそ、まずは下記の制度や相談先に目を通してみてください。
「そんな制度があるなら、もっと早く知りたかった」——相談の場では、よくそう言われます。働きながら介護をする人を支える公的な仕組みは、実は思っている以上にそろっています。代表的なものを整理します。
これらは「育児・介護休業法」に基づく制度です[出典:厚生労働省(育児・介護休業法)]。正社員だけでなく、契約社員やパートタイムでも要件を満たせば対象になることがあります。「自分の働き方では使えないだろう」と一人で決めつけず、まずは確認してみてください。
💡 ポイント:介護休業を「介護につきっきりになる期間」と捉えると、かえって身動きが取りにくくなります。「仕事を続けながら介護を回せる体制を組み立てるための準備期間」だと考えてみてください。この93日でケアマネージャー探し・サービスの手配・施設見学まで済ませておくと、復帰後に慌てる場面をぐっと減らせます。
「迷惑をかけたくない」「介護のことを話したら評価が下がるかもしれない」——そう思って言い出せずにいる方は少なくありません。けれど、黙ったまま無理を重ねて急に休むことになれば、職場への影響はむしろ大きくなります。次の手順を、一つずつ確認しながら進めてみてください。
親の状態、自分が今どんな対応をしているか、これから必要になりそうなこと(通院付き添い・施設探しなど)を簡単にメモにまとめます。これがあると相談がスムーズです。
会社独自の介護支援制度(法定を上回る休暇や手当など)がある場合もあります。社内ポータルや就業規則、人事・総務の窓口で、使える制度を先に調べておきましょう。
「介護が始まり、今後こういう制度の利用を検討している」と早い段階で共有します。事後報告より、事前の相談のほうが配慮や調整を得やすくなります。
「介護休暇を月に数日」「当面は時短勤務」など、希望を具体的に伝えます。会社は法律上、これらの申し出を理由に不利益な扱いをすることはできません。
もし「制度を使わせてもらえない」「相談した途端に扱いが変わった」ということがあれば、それは職場側の問題であって、あなたの伝え方が悪かったわけではありません。お住まいの都道府県労働局や「総合労働相談コーナー」など、社外の公的な窓口にも相談できます[出典:厚生労働省(都道府県労働局・総合労働相談コーナー)]。一人で我慢し続ける必要はありません。
職場の制度がどれだけ整っていても、介護そのものを家族だけで抱え続けていては、いずれ限界がきます。介護離職を避ける一番の近道は、「自分がやらなくてよいことを外に任せる」ことです。費用感の目安とあわせて、代表的な手段を紹介します。

こうしたサービスは選択肢が多い分、「どれを、どの順番で、どこに頼めばいいのか」が見えづらいのが正直なところです。すべてを一人で調べて決めようとせず、最初の整理だけでも誰かと一緒に行うと、動き出すハードルはぐっと下がります。
「もう無理」という言葉が頭をよぎったとき、一番避けてほしいのは、誰にも話さないまま勢いだけで退職届を出してしまうことです。制度を使う、外部サービスに任せる、相談できる先を持つ——この3つがそろえば、今の状況は必ず動き始めます。
💡 今日中に動くのは、どちらか一つで十分です。勤務先の就業規則で介護制度を確認するか、お住まいの地域包括支援センターに電話してみる。結果を先回りして決めつけず、まずはこのどちらかだけ動かしてみてください。
実家SOSは、ゴミ屋敷・介護・老人ホーム・空き家・相続・認知症など、実家にまつわる困りごとを、厳選した提携業者へおつなぎするサービスです。「どのサービスを選べばいいのか分からない」という段階でも構いません。今の状況を伺ったうえで、合いそうな選択肢を一緒に整理します。急かしたり、判断を押し付けたりすることはありません。まずは今の状況だけでも聞かせてください。
一人で決めきれないときは、LINEで相談するという方法もあります。