「外出先よりも、住み慣れた自宅のほうが危ない」——意外に思われるかもしれませんが、高齢者の事故の多くは、毎日過ごしているはずの家の中で起きています。段差につまずく、お風呂で具合が悪くなる、食事中にむせる。どれも「まさかうちの親が」と思っているうちに、突然起こります。
離れて暮らしていると、親の家の危険な場所はなかなか見えません。けれど、ちょっとした住まいの工夫や見守りの仕組みで、防げる事故はたくさんあります。この記事では、高齢の親に多い家庭内事故の種類と、一人暮らしの実家でできる予防策、そして遠方からでもできる見守りの方法を、家族の目線で整理しました。なお、症状や住宅改修の判断は状況によって異なるため、最終的には医師やケアマネジャー、自治体の窓口など専門家へご相談ください。
離れて暮らす親の安全を気にかけているあなたは、決して心配しすぎではありません。できる備えから少しずつで大丈夫です。
高齢になると、筋力やバランス感覚、飲み込む力、体温調節の機能などが少しずつ低下します。本人は「まだ大丈夫」と思っていても、若いころと同じ動作が危険につながることがあります。まずは、どんな事故が多いのかを知ることが対策の出発点です。代表的なものとして、次のようなケースが挙げられます。
これらは年齢を重ねるほどリスクが高まる傾向がありますが、住まいの環境を整えることで多くは予防が可能です。「起きてから対応する」のではなく「起きにくい家にしておく」という発想が大切です。
大がかりなリフォームをしなくても、身近なところから手をつけられる対策はたくさんあります。優先順位の高いものから、できる範囲で進めていきましょう。次に、場所ごとの代表的な対策をまとめます。
階段・玄関・トイレ・廊下に手すりを設置し、つまずきやすい段差は解消やスロープ化を検討します。床のコード類や滑るマットを片づけ、夜間は足元灯をつけておくと安心です。手すり設置などは介護保険の住宅改修が使える場合があるため、ケアマネジャーや市区町村の窓口に確認しましょう。
入浴前に脱衣所や浴室を暖めておき、部屋との温度差を小さくします。お湯の温度はぬるめにし、長湯を避ける。入浴前後の水分補給も大切です。一人での入浴が心配な場合は、家族へ「これから入る/出た」と連絡する習慣も有効です。
一口を小さく、ゆっくりよく噛んで食べる。食事中は前かがみ気味の良い姿勢を保ち、食べながらの会話やテレビへの集中は控えめに。飲み込みにくさが気になるときは、医師や歯科、言語聴覚士など専門職へ相談を。とろみをつける工夫が役立つこともあります。
ガスコンロを、消し忘れ防止機能つきや電気(IH)調理器に替えると、火の不始末のリスクを下げられます。ポットや電気ケトルも自動オフ機能つきが安心。住宅用火災警報器の設置と電池切れの確認も忘れずに。
すべてを一度にそろえる必要はありません。まずは「親が一番長くいる場所」「過去にヒヤッとした場所」から手をつけるのが効果的です。本人が「年寄り扱いされた」と感じないよう、「私が安心したいから」と伝えながら一緒に進めると、受け入れてもらいやすくなります。
「実家のどこが危ないか分からない」「親が対策を嫌がる」という方へ。
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住まいの対策を整えても、事故を100%防ぎきることはできません。だからこそ「もし何かあったとき、すぐ気づける仕組み」を併せて持っておくと安心です。近年は、一人暮らしの高齢者向けにさまざまな見守りの選択肢が増えています。代表的なものを挙げます。
費用は月額数百円程度のものから、設置工事や見守り員つきで月額数千円規模になるものまで幅があり、あくまで目安です。自治体によっては緊急通報装置の貸与など独自の支援を行っているケースもあるため、まずは市区町村や地域包括支援センターに相談し、親の生活スタイルに合うものを選ぶとよいでしょう。
「近くにいられないから何もできない」と感じてしまいがちですが、離れていてもできることは少なくありません。むしろ、たまに帰省するからこそ気づける変化もあります。
帰省したときは、実際に親と一緒に家の中を歩いてみて、つまずきやすい場所・暗い場所・お風呂の寒さなどを確認してみてください。普段の電話では、転んでいないか、食事はむせずに食べられているか、寒い時期のお風呂は大丈夫かを、さりげなく聞いておくと変化に気づきやすくなります。そのうえで、見守りサービスやケアマネジャー、ご近所との連絡体制を整えておけば、遠方からでも「すぐ気づける・すぐ動ける」備えになります。一人で抱え込まず、専門家や地域の窓口を上手に頼ることが、結果的に親を守ることにつながります。
「見守りサービスをどう選べばいいか分からない」「遠方で心配が尽きない」という方へ。
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