空き家・管理

親が施設に入った後の実家をどうする|空き家管理と早めの判断

📖 読了目安:約7分 🗓 更新日:2026年6月

施設入所で、実家が「誰も住まない家」になったとき

親が老人ホームや介護施設に入居して、ようやくひと安心——けれど、ほどなくして次の悩みがやってきます。「住む人がいなくなった実家を、これからどうしよう」。親はまだ元気で、いつか帰ってくるかもしれない。けれど現実には、誰も住まない家がそのまま残されている。そんな宙ぶらりんの状態に、多くのご家族が頭を抱えています。

結論から言えば、空き家になった実家は「とりあえず放置」が一番リスクの高い選択になりがちです。家は人が住まなくなると一気に傷みますし、固定資産税は毎年かかり続けます。一方で、売却・賃貸・解体・保持といった選択肢には、それぞれ向き不向きがあります。焦って決める必要はありませんが、「いつ・何を・誰に相談して決めるか」を早めに整理しておくことが、後悔しないための第一歩です。

実家の行く末をすぐに決められなくても構いません。迷う時間も、親御さんを想うあなたの大切な過程です。

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放置するとどうなる?空き家のリスク

「住まなくなっただけで、すぐ何か起きるわけではないだろう」と感じる方も多いはずです。しかし、空き家は時間とともに静かに、しかし確実に問題を大きくしていきます。代表的なリスクを挙げておきます。

これらはあくまで一般的な傾向で、実際にどこまで当てはまるかは建物の状態や地域によって異なります。とはいえ、「何もしないでいるほど選択肢が狭まっていく」という点は、多くのケースに共通します。

実家をどうするか——4つの選択肢

空き家になった実家の主な行き先は、大きく次の4つです。それぞれメリットと注意点があり、ご家族の状況や親の意向によって最適解は変わります。

① 売却する

維持の負担から解放され、まとまった資金が手に入ります。後述するように、施設費用の捻出につながる点も大きなメリットです。一方で、思い出のある家を手放す心理的なハードルや、売却までに時間がかかる場合がある点は考慮が必要です。

② 賃貸に出す

家を残しつつ家賃収入を得られます。ただし、貸せる状態にするためのリフォーム費用、入居者対応や管理の手間、空室リスクなどが伴います。立地や建物の状態によっては、現実的でないこともあります。

③ 解体して更地にする

老朽化が進み活用が難しい場合の選択肢です。倒壊や近隣への危険を避けられますが、解体費用がかかり、更地にすると住宅用地の税の軽減が外れて固定資産税が上がる場合がある点に注意が必要です。

④ そのまま保持・管理する

「いつか親が戻るかもしれない」「家族で話がまとまらない」といった事情で、当面そのまま持ち続ける選択もあります。その場合でも、定期的な換気・通水・見回りなど、最低限の管理は欠かせません。遠方で通えないなら、空き家管理サービスの利用も検討に値します。

どの選択肢が正解か、ひとつに決め切れなくて当然です。大切なのは「決めないまま時間だけが過ぎる」状態を避けること。まずは「半年後・1年後にどうしたいか」のおおまかな方針だけでも家族で共有しておくと、その後の判断がぐっと楽になります。

親の同意が必要——認知症で判断できない場合は

見落とされがちですが、実家の名義が親のままであれば、売却や賃貸には原則として所有者である親本人の同意(意思表示)が必要です。子どもが勝手に売ったり貸したりすることはできません。

親に判断能力があるうちなら、本人の意思を確認しながら進められます。問題は、施設入所のきっかけが認知症で、すでに契約などの判断が難しくなっている場合です。このときは「成年後見制度」の利用が必要になることがあります。家庭裁判所に申し立てて選任された後見人が、本人に代わって財産管理を行う仕組みですが、手続きには時間も手間もかかり、後見人が必ずしも家族とは限りません。また、居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要になるなど、制約もあります。

こうした制度は専門性が高く、状況によって取れる選択肢が変わります。「親の判断が難しくなってきた」と感じたら、できるだけ早い段階で、司法書士・弁護士・地域包括支援センターなどの専門窓口に相談しておくことをおすすめします。判断できるうちに方針を話し合っておくことが、何よりの備えになります。

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施設費用を、実家の売却でまかなうという考え方

老人ホームや介護施設の費用は、決して小さくありません。入居一時金が必要な施設もあれば、毎月の利用料が長期にわたって続くこともあります。年金や預貯金だけでは心もとない——そんなとき、使っていない実家を売却して、その資金を施設費用や介護費用にあてるという選択は、現実的でとても合理的です。

誰も住まない家を維持し続けても、固定資産税や管理コストがかかるばかりで、資産としては「眠っている」状態です。これを現金化できれば、当面の費用への不安が和らぎ、親の介護にも選択肢が広がります。実際、施設入所をきっかけに実家の売却を決めるご家族は少なくありません。

ただし、売却のタイミングや方法、税金(譲渡所得税や各種特例の適用可否など)はケースによって大きく変わります。とくに相続が絡む場合は、名義や税の扱いが複雑になりがちです。金額や税金の判断は、不動産会社・税理士など専門家に確認のうえ進めるのが安心です。

後悔しないために——早めの相談が分かれ道

空き家になった実家の問題は、「急がなくていい」ように見えて、実は時間が経つほど選択肢が狭まり、コストもかさんでいくテーマです。建物は傷み、税は払い続け、親の判断能力は変わっていくかもしれない。だからこそ、結論を急ぐ必要はなくても、「考え始めるのは早いほどいい」のです。

とはいえ、何から手をつければいいか分からないのも当然です。下の手順を目安に、まずは現状の把握から始めてみてください。

  1. 実家の名義と現状を確認する

    登記上の名義が誰か、建物の傷み具合、固定資産税の金額などを把握します。名義が親のままなら、売却・賃貸には親の同意が必要になる点を押さえておきます。

  2. 親の意向を、判断できるうちに聞いておく

    「家をどうしたいか」を、親が元気なうちに話し合っておきます。後で揉めないために、きょうだいなど関係する家族も交えておくと安心です。

  3. 4つの選択肢から方向性を決める

    売却・賃貸・解体・保持のうち、どこを目指すか大まかな方針を固めます。決め切れなければ「半年後に再検討」でも構いません。

  4. 専門家・公的窓口に相談する

    税金や手続きはケースで異なります。不動産会社・税理士・司法書士・地域包括支援センターなど、内容に応じた窓口に早めに相談しましょう。

「自分の家の場合はどうなるんだろう」という具体的な疑問が出てきたら、それが動き出すタイミングです。ひとりで抱え込まず、まずは気軽に相談してみてください。

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