親が亡くなった、または施設に入居して誰も住まなくなった実家。「すぐに決めなくていいか」「売るのもつらいし」という気持ちで、何も決めずに月日が過ぎていく——そういうケースは非常に多いです。
しかし空き家を放置することには、思った以上のコストとリスクが伴います。固定資産税は払い続け、建物は劣化し、害虫・害獣の住処になり、最悪の場合は近隣への倒壊リスクも生まれます。「何もしない」が最も高くつく選択になりえます。
この記事では、空き家になった実家の4つの選択肢を費用・メリット・デメリットで整理します。「どれが正解か」は状況によって違いますが、選択肢を知ることが最初の一歩です。
親が遺した家をどうするか、すぐに決められなくて当たり前です。迷いながら考えているあなたは、ちゃんと向き合えています。
| 選択肢 | 初期費用の目安 | 維持費用 | 向いている状況 |
|---|---|---|---|
| 売却する | 片付け費用(〜数十万円) | なし(売れれば) | 維持が困難・相続人が複数 |
| 賃貸に出す | リフォーム費用(50〜200万円) | 管理費・修繕費 | 立地が良い・将来戻る可能性あり |
| 解体する | 解体費用(100〜400万円) | 固定資産税(上がる場合あり) | 老朽化が激しい・土地活用を検討 |
| 維持・管理する | 清掃・修繕費(年10〜30万円) | 固定資産税・管理費 | 将来使う予定がある |
実家を不動産業者に売却する方法です。売却前に家の片付けが必要ですが、売れれば維持費・固定資産税から解放されます。立地が良ければまとまった資金を得ることもできます。
注意点は、売却には遺産分割協議書(相続人全員の合意)が必要な点です。兄弟間で意見が割れると手続きが長引く場合があります。また、売る前に家の中のものを全部片付ける必要があるため、その費用(数万〜数十万円)と時間が先にかかります。
実家をリフォームして賃貸物件として貸し出す方法です。毎月家賃収入が入る一方、入居者がいない空室期間は収入がなく管理費だけかかります。立地(駅からの距離・周辺環境)によって賃貸需要は大きく異なります。
リフォーム費用は50〜200万円程度かかることが多く、古い家ほど費用がかさみます。また、管理会社への手数料(家賃の5〜10%)も発生します。「賃貸に出せば儲かる」と思い込まず、収支のシミュレーションを先にすることが重要です。
建物を取り壊し、更地にする方法です。老朽化が激しくリフォームより解体の方がコストが安い場合や、土地として売却・活用する場合に選ばれます。
解体費用は建物の大きさや構造(木造・鉄骨・RC)によって異なりますが、一般的な木造一戸建て(30〜40坪)で100〜200万円程度が目安です。注意点として、建物があるうちは固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)が適用されますが、解体後は適用外となり税額が上がる場合があります。解体前に税務上の影響を確認してください。
「すぐには決められないが、いずれは戻るかもしれない」「思い入れがあって手放せない」という場合に選ばれます。ただし、誰も住んでいない建物は急速に劣化します。最低限、定期的な換気・清掃・点検(年数回の帰省または管理会社への委託)が必要です。
管理を業者に委託する場合は月1〜2万円程度、固定資産税も年間数万〜数十万円かかります。「とりあえず何もしない」は、こっそり最もコストがかかる選択になりえます。
売る貸す壊す維持、選択肢を一つずつ知るだけでも気持ちは軽くなります。まずは情報を整理することから始めてみませんか。
管理が不十分な空き家は行政から「特定空き家」に指定されることがあります。指定されると住宅用地特例が外れ、固定資産税が最大6倍になります。さらに勧告・命令・強制撤去の対象になる場合もあります。
誰も住んでいない建物は、換気・湿度管理がされないため急速に劣化します。雨漏り・シロアリ・腐朽——今は100万円で直せる問題が、放置すると修繕不能になる場合があります。
空き家は犯罪の温床になりやすく、不法侵入・不法投棄の被害が多発しています。また老朽化した建物が台風・地震で倒壊した場合、近隣への損害賠償責任を問われる可能性があります。
「まだ決められない」という気持ちはよくわかります。すぐに結論を出す必要はありません。ただ、何もしないまま放置することだけは避けてください。まず現状の整理と片付けを行い、その後どうするかを考える順番が正しいです。
「実家が空き家になった。どこから動けばいいか」
状況を聞かせてください。一緒に整理します。