親が亡くなって実家の相続が発生した。でも、何をいつまでにやればいいか、さっぱりわからない——そんな方のために、この記事では相続手続きの全体像を「期限」「ステップ」「費用」の3つの軸でわかりやすく整理します。難しい法律用語は使いません。まず全体を把握して、それから動きましょう。
相続手続きで一番怖いのは「知らないうちに期限を過ぎていた」ことです。相続には法的な期限があり、期限を過ぎると選択肢が大きく狭まります。まず、必ず押さえておくべき3つの期限を確認しましょう。
亡くなった翌日から7日以内に市区町村役場へ死亡届を提出します。病院が発行する「死亡診断書」と一緒に提出が必要です。提出しないと火葬許可証が発行されないため、葬儀前に済ませることになります。
相続放棄とは「財産も借金も一切引き継がない」という選択です。3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述しなければ、自動的に「相続する」とみなされます。実家に多額の住宅ローンや借金が残っている場合は特に注意が必要です。
相続財産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告と納付が必要です。期限を過ぎると延滞税・加算税が発生します。「うちは関係ない」と思っていても、実家の土地が評価額で意外と高くなるケースがあります。
「3ヶ月以内に動かなければいけない」というのは相続放棄の期限であり、他の手続きには別の期限があります。10ヶ月以内の相続税申告が最終的な大きな締め切りです。この2つだけは絶対に頭に入れておいてください。
親を亡くした悲しみの中で手続きに向き合うのは、本当に大変なことです。すべてを一度にやろうとしなくて大丈夫です。
「やることが多すぎてどこから手をつければいいか」という声をよく聞きます。大きく分けると8つのステップです。一度に全部やる必要はなく、期限のあるものから順番に進めていきましょう。
💡 ポイント:ステップ3〜4(相続人と財産の確定)は他のすべての手続きの前提になります。ここで時間がかかることが多いため、早めに着手しましょう。
「実家を相続したら相続税がかかる?」というご不安をお持ちの方が多いですが、実は相続税がかかるのは財産の多い一部のケースです。まず「基礎控除額」を確認しましょう。
基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
例)法定相続人が2人(配偶者と子1人)の場合:3,000万円+600万円×2人=4,200万円
財産の合計がこの金額以下なら相続税はゼロです。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 | 相続税が必要になる目安 |
|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 財産合計が3,600万円超 |
| 2人 | 4,200万円 | 財産合計が4,200万円超 |
| 3人 | 4,800万円 | 財産合計が4,800万円超 |
| 4人 | 5,400万円 | 財産合計が5,400万円超 |
注意したいのは、実家の「評価額」は売却価格とは異なるという点です。実家の場合は「路線価」「固定資産税評価額」などをもとに計算します。都市部の土地は思わぬ高評価になることがあります。また、「小規模宅地等の特例」が適用できると、評価額が最大80%減額になるケースもあります。不安な方は早めに税理士に相談することをおすすめします。
何から手をつければいいか分からなくても大丈夫。やるべきことを一つずつ確かめながら、少しずつ進めていきましょう。
「うちの場合、相続税はかかる?」
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不動産の名義変更のことを「相続登記」といいます。これまでは任意でしたが、2024年4月から義務化されました。相続を知った日から3年以内に申請しないと、10万円以下の過料(罰則)の対象になります。
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 固定資産税評価額×0.4% | 評価額2,000万円の場合:8万円 |
| 司法書士報酬 | 5〜15万円程度 | 書類収集・申請代行を依頼した場合 |
| 戸籍謄本等の取得費 | 5,000〜2万円程度 | 通数によって異なる |
自分で法務局に申請する「自己申請」も可能ですが、書類の収集・確認・記入ミスのリスクを考えると、司法書士に依頼するケースが多いです。費用は上乗せになりますが、ミスなく確実に進められます。
名義が故人のままだと、売却・担保設定・賃貸活用ができません。さらに相続人が増えるほど(孫世代に)権利関係が複雑になり、将来的な解決コストが跳ね上がります。早めの申請をお勧めします。
「実家を相続したくない」「借金まで引き継ぎたくない」という場合、相続放棄という選択肢があります。ただし、メリットだけでなくデメリットも必ず理解しておきましょう。
相続放棄をした場合、不動産については2023年4月施行の改正民法により「相続財産管理人の選任」まで管理義務が続くことが明確化されました。「放棄したから終わり」ではない点に注意が必要です。
相続した実家の「その後」をどうするかは、また別の大きな問題です。主な選択肢は3つあります。
相続から3年10ヶ月以内に売却すれば「3,000万円特別控除」が適用できます。現金化して相続人間で分けやすく、維持費もかからなくなります。ただし、買い手を見つけるまでに時間がかかることも。
家賃収入を得ながら実家を残せます。ただし、入居者の管理や修繕費用が発生します。「実家を残したい気持ちがある」「すぐに売る決断ができない」という方に選ばれることが多い選択肢です。
何もしないという選択肢ですが、固定資産税・管理費・修繕費がかかり続けます。「特定空き家」に指定されると固定資産税の優遇措置(住宅用地特例)が失われ、税額が最大6倍になるリスクも。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
どの選択が最適かは、実家の場所・建物の状態・相続人の状況・親族関係によって大きく異なります。「とりあえず空き家のまま」という判断が長期的には最もコストがかかるケースが多いため、早めに方針を決めることをおすすめします。
→ 空き家活用・売却・賃貸の詳しい比較は 【実家が空き家になったらどうする?】 の記事で詳しく解説しています。
→ 遺品整理・片付けについては 【遺品整理・生前整理の費用と業者の選び方】 もあわせてご覧ください。
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