親を見送ったばかりで、まだ気持ちの整理もついていないのに、市役所や法務局からは次々と「いつまでに」という言葉が届く——今そんな状況にいる方に向けて書きました。相続の手続きは調べるほど複雑に感じられますが、この記事では「期限」「ステップ」「費用」の3つの軸に絞って全体像を整理しています。難しい法律用語はできるだけ使いません。まずは、何がいつまでに必要なのかを把握するところから始めましょう。
葬儀や役所とのやり取りに追われているあいだにも、相続の期限は容赦なく進んでいきます。「気づいたら過ぎていた」ということが一番怖いのは、後から取り返しがつかず、選べたはずの道が閉ざされてしまうからです。悲しみの中でカレンダーを見る余裕などないかもしれませんが、まずは必ず押さえておくべき3つの期限だけ確認しておきましょう。
亡くなった翌日から7日以内に市区町村役場へ死亡届を提出します。[出典:法務省「死亡届」]病院が発行する「死亡診断書」と一緒に提出が必要です。提出しないと火葬許可証が発行されないため、葬儀前に済ませることになります。
相続放棄とは「財産も借金も一切引き継がない」という選択です。3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述しなければ、自動的に「相続する」とみなされます。[出典:裁判所「相続の放棄の申述」]実家に多額の住宅ローンや借金が残っている場合は特に注意が必要です。
相続財産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告と納付が必要です。[出典:国税庁「No.4152 相続税の計算」]期限を過ぎると延滞税・加算税が発生します。「うちは関係ない」と思っていても、実家の土地が評価額で意外と高くなるケースがあります。
「3ヶ月」という数字だけが頭に残って、なんとなく「全部3ヶ月以内にやらなければ」と思い込んでしまう方も少なくありません。実際には、3ヶ月は相続放棄を決めるための期限であり、他の手続きにはそれぞれ別の期限があります。最終的に一番大きな締め切りは、10ヶ月以内の相続税申告です。[出典:国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」]覚えることが多くて不安になったら、まずはこの2つの日付だけ押さえてください。

「やることが多すぎて、どこから手をつけていいか分からない」というご相談は本当によくいただきます。悲しみの中で長いリストを前にすると、それだけで動けなくなってしまうのも当然のことです。全体としては8つのステップに分かれていますが、一度に全部そろえる必要はありません。期限が迫っているものから順番に片づけていけば、十分間に合います。
💡 ポイント:ステップ3〜4(相続人と財産の確定)でつまずく方が実際に多くいます。疎遠になっていた親族に連絡を取ったり、実家の引き出しや金庫を探して通帳や証書を探し出したり——気が重い作業が続くところだからです。ここで足踏みすると後続の手続きすべてが止まってしまうので、気が進まなくても早めに着手しておくと、後がぐっと楽になります。
「実家を相続したら、税金でいくら持っていかれるのだろう」という不安から、通帳や権利証を開くのが怖くなってしまう方も少なくありません。ですが実際に相続税がかかるのは、財産がある程度まとまっている一部のケースだけです。まずは自分たちが対象になるかどうかを知るために、「基礎控除額」を確認してみましょう。
基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
例)法定相続人が2人(配偶者と子1人)の場合:3,000万円+600万円×2人=4,200万円
財産の合計がこの金額以下なら相続税はゼロです。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 | 相続税が必要になる目安 |
|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 財産合計が3,600万円超 |
| 2人 | 4,200万円 | 財産合計が4,200万円超 |
| 3人 | 4,800万円 | 財産合計が4,800万円超 |
| 4人 | 5,400万円 | 財産合計が5,400万円超 |
ここで戸惑う方が多いのが、実家の「評価額」は売却価格とは異なるという点です。実家の場合は「路線価」「固定資産税評価額」などをもとに計算するため、「そんなに高く売れる家じゃないのに」と感じていても、評価額だけが意外に高く出てしまうことがあります。特に都市部の土地はその傾向が強めです。ただし、「小規模宅地等の特例」が適用できると、評価額が最大80%減額になるケースもあります。[出典:国税庁「No.4124 小規模宅地等の特例」]数字を見て不安になったら、一人で抱え込まず、早めに税理士に相談することをおすすめします。
不動産の名義変更は「相続登記」と呼ばれ、以前は「そのうちでいいや」と後回しにしている家庭も少なくありませんでした。ですが2024年4月から義務化され、状況が変わっています。相続を知った日から3年以内に申請しないと、10万円以下の過料(罰則)の対象になる可能性があります。[出典:法務省「相続登記の申請義務化について」]「知らなかった」では済まされない制度になったことを、まず知っておいてください。
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 固定資産税評価額×0.4% | 評価額2,000万円の場合:8万円 |
| 司法書士報酬 | 5〜15万円程度 | 書類収集・申請代行を依頼した場合 |
| 戸籍謄本等の取得費 | 5,000〜2万円程度 | 通数によって異なる |
葬儀や諸手続きで出費がかさむ中、さらに司法書士費用を払うのはためらう、という方もいらっしゃると思います。自分で法務局に申請する「自己申請」も可能ですが、戸籍の読み方や書類の記入は想像以上に細かく、書き直しで時間がかかることも珍しくありません。費用は上乗せになりますが、記入ミスに悩まされず確実に進められる安心感を優先して、司法書士に依頼する方が多いのが実情です。
「とりあえず今のままでいいか」と後回しにしてしまう方は少なくありませんが、名義が故人のままだと、売却も担保設定も賃貸活用もできません。しかも時間が経って相続人が増える(孫の世代に及ぶ)ほど、権利関係はどんどん複雑になり、将来の解決コストは跳ね上がっていきます。気が重い作業ではありますが、早めの申請をお勧めします。
「正直、実家を相続したくない」「借金まで背負うのは無理」——そう思ってしまう自分に戸惑う方もいますが、相続放棄という選択肢はそのためにきちんと用意されています。ただし一度選ぶと後戻りができない手続きでもあるため、メリットだけでなくデメリットも必ず理解した上で判断しましょう。
「相続放棄さえすれば、実家のことはもう関係ない」と思っていると、思わぬところでつまずきます。2023年4月施行の改正民法により、不動産については「相続財産管理人の選任」がなされるまで管理義務が続くことが明確化されました。[出典:法務省「民法等の一部を改正する法律について」]放棄したことで安心しきってしまわないよう、この点だけは頭の片隅に置いておいてください。

手続きが一段落しても、相続した実家を「これからどうするか」という問いは残ります。育った家を手放すのか、残すのか——気持ちの面でも簡単には決められないテーマですが、現実的な選択肢としては主に3つあります。
相続から3年10ヶ月以内に売却すれば「3,000万円特別控除」が適用できます。[出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」]現金化して相続人間で分けやすく、維持費もかからなくなります。ただし、買い手を見つけるまでに時間がかかることも。
家賃収入を得ながら実家を残せます。ただし、入居者の管理や修繕費用が発生します。「実家を残したい気持ちがある」「すぐに売る決断ができない」という方に選ばれることが多い選択肢です。
何もしないという選択肢ですが、固定資産税・管理費・修繕費がかかり続けます。「特定空き家」に指定されると固定資産税の優遇措置(住宅用地特例)が失われ、税額が最大6倍になるリスクも。[出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」]詳しくはこちらの記事をご覧ください。
どの選択が最適かは、実家の場所・建物の状態・相続人の状況・親族関係によって大きく異なり、簡単に「これが正解」とは言えません。ただ、結論を出せないまま「とりあえず空き家に」としてしまうと、長期的には最もコストがかかるケースが多いのも事実です。気の進まない話し合いかもしれませんが、早めに方針だけでも決めておくことをおすすめします。
→ 空き家活用・売却・賃貸の詳しい比較は 【実家が空き家になったらどうする?】 の記事で詳しく解説しています。
→ 遺品整理・片付けについては 【遺品整理・生前整理の費用と業者の選び方】 もあわせてご覧ください。
実家の相続で判断に迷ったときは、LINEで相談するという方法もあります。
まずは死亡届の提出・葬儀の手配から始まり、遺言書の有無の確認、相続人の確定(戸籍謄本の収集)、財産・負債の全体像の把握(財産目録の作成)という順で進めます。相続の手続きは大きく8つのステップに分かれており、一度に全部やる必要はなく、期限のあるものから順番に進めていくのがポイントです。
原則として死亡後3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。期限内に申述しないと、自動的に「相続する」とみなされてしまうため、実家に多額の住宅ローンや借金が残っている場合は特に注意が必要です。
相続税には基礎控除があり、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。例えば法定相続人が2人(配偶者と子1人)なら基礎控除額は4,200万円となり、財産の合計がこの金額以下であれば相続税はかかりません。ただし実家の評価額は路線価や固定資産税評価額をもとに計算されるため、都市部では思わぬ高評価になることもあります。
相続登記は2024年4月から義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく期限を過ぎると、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
固定資産税・管理費・修繕費がかかり続けるほか、「特定空き家」に指定されると固定資産税の優遇措置(住宅用地特例)が失われ、税額が最大6倍になるリスクがあります。売る・貸す・維持するの3つの選択肢を早めに検討することが重要です。
本記事は、以下の官公庁が公表する一次情報にもとづいて作成しています(最終確認:2026年7月)。制度・税制は改正されることがあるため、実際のお手続きの際は各機関の最新情報もあわせてご確認ください。