相続・名義

実家の名義が祖父母のまま|数次相続の落とし穴と進め方

📖 読了目安:約7分 🗓 更新日:2026年6月

親が亡くなって実家を整理しようと登記簿(登記事項証明書)を取り寄せたら、名義人が親ではなく、ずっと前に亡くなった祖父や祖母のままだった——。そんなケースは決して珍しくありません。「親の代で相続の手続きをしていなかった」「誰も気づかないまま放置されていた」というのが、よくある実情です。

名義が先代のまま止まっていると、いざ売却したり活用したりしようとしても、すぐには動けません。亡くなった人が複数いることで相続が二重・三重に重なる、いわゆる「数次相続(すうじそうぞく)」の状態になっているからです。放置するほど関わる人が増え、手続きが難しくなる傾向があります。この記事では、なぜこうなるのか、どんな問題が起きやすいのか、そしてどう進めればよいのかを、できるだけわかりやすく整理していきます。

何代も前のままの名義に戸惑うのは当然のことです。誰のせいでもありませんから、一つずつ整理していけば必ず前に進めます。

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数次相続とは?なぜ名義が祖父母のまま残るのか

数次相続とは、ある人の相続手続き(遺産分割や名義変更)が終わらないうちに、その相続人の一人がさらに亡くなり、相続が重なって発生していく状態を指します。たとえば祖父が亡くなったときに名義変更をせず、その後に父も亡くなった場合、「祖父の相続」と「父の相続」が連なって残ることになります。

なぜ放置されてしまうのか。背景には、かつて相続登記が義務ではなかったことがあります。名義を変えなくても当面は誰かが住み続けられたため、「費用も手間もかかるし、急がなくていい」と先延ばしにされがちでした。さらに、地方の不動産や評価額の低い土地ほど「そのままでいいか」となりやすく、結果として何十年も前の名義が残ってしまうのです。悪意があったわけではなく、誰もが起こしうる「放置の積み重ね」だとお考えください。

放置すると相続人が増えて合意が難しくなる

数次相続のいちばんの落とし穴は、時間が経つほど相続人(=遺産分割の話し合いに参加すべき人)が増えていくことです。祖父の相続人だった子どもたちが亡くなれば、その配偶者や孫へと権利が引き継がれていきます。当初は数人だった関係者が、世代を経るうちに十数人、ケースによってはそれ以上にふくらむことも珍しくありません。

関係者が増えると、こんな困りごとが起きやすくなります。

遺産分割協議は、原則として相続人全員の合意がそろわないと成立しません。人数が増えるほど合意のハードルは上がります。だからこそ「放置すればするほど解決が遠のく」のが数次相続の怖さです。逆に言えば、早く動くほど関係者が少ないうちに片づけられる可能性が高まります。

数次相続は「いつかやろう」が最も危険です。先延ばしにしている間にも、相続人がさらに亡くなって権利者が増え、話し合いの相手が広がっていきます。今のあなたが向き合う人数が、おそらく今後いちばん少ない人数です。気づいた今こそ、整理を始めるタイミングだとお考えください。

2024年の相続登記義務化との関係

2024年(令和6年)4月から、相続登記が義務化されました。これは、所有者が分からない「所有者不明土地」が全国で増えている問題への対策として導入されたものです。一般的な目安として、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記の申請をする必要があるとされ、正当な理由なく怠ると過料(行政上のペナルティ)の対象になりうるとされています。

重要なのは、この義務化は過去に放置していた相続にもさかのぼって関係しうるとされている点です。祖父母名義のまま長年放置してきたケースも対象に含まれる可能性があり、「昔のことだから関係ない」とは言い切れません。詳しい適用条件や経過措置、ご自身のケースが該当するかどうかは、法務局や司法書士などの専門家に確認することをおすすめします。制度は今後も運用が更新される可能性があるため、最新の情報を公的窓口で確かめるのが確実です。

「実家の名義が誰のままか分からない」「何から手をつければ…」という方へ。
まずは状況を聞かせてください。次の一歩を一緒に整理します。相談は無料です。

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数次相続の進め方|まず確認したい流れ

数次相続は複雑に見えますが、進め方の基本は「①誰の名義かを確かめる → ②相続人を確定する → ③話し合って分け方を決める → ④名義を変える」というシンプルな順序です。あくまで一般的な流れの目安として、ステップで見ていきましょう。

  1. 登記簿で「今の名義人」を確認する

    まずは法務局で登記事項証明書を取得し、実家が誰の名義になっているかを確認します。祖父母など先代の名義のままなら、数次相続の可能性が高いと考えられます。出発点となる大切な一歩です。

  2. 戸籍をたどって相続人を全員洗い出す

    名義人の出生から死亡までの戸籍をさかのぼり、子・孫・配偶者など権利を持つ人を一人残らず確定します。数次相続では複数の人の戸籍を集める必要があり、手間と時間がかかりやすい工程です。

  3. 相続人どうしで連絡を取り、状況を共有する

    判明した相続人へ連絡を取り、実家の現状と「名義を整理したい」という意向を共有します。遠い親戚も含まれるため、丁寧で穏やかな伝え方が円滑な合意につながります。

  4. 遺産分割協議で分け方を決める

    誰がどの財産を引き継ぐかを全員で話し合い、合意できたら遺産分割協議書を作成します。原則として相続人全員の合意と署名・押印が必要です。ここが数次相続の最大の山場になりやすい部分です。

  5. 相続登記で名義を現在の所有者に変える

    協議がまとまったら、法務局で相続登記を行い、名義を実際の所有者へ変更します。ここまで終えてはじめて、売却・活用・解体などの次の選択肢に進めるようになります。

こうして並べると道筋は見えますが、実際には戸籍集めや相続人との連絡だけで数か月かかることもあります。費用や必要書類はケースによって大きく異なるため、金額や期間の見通しは事前に専門家へ確認しておくと安心です。

自分たちだけで抱えず、早めに司法書士へ相談を

数次相続は、戸籍の読み解きや相続人の確定、書類作成など、専門知識が求められる場面が多い分野です。とくに相続人が多い・遠方や疎遠の親戚がいる・誰が権利者か分からないといったケースでは、ご家族だけで進めようとすると途中で行き詰まりやすくなります。

登記や相続の手続きは司法書士が専門家として相談に応じています。相続人の調査から遺産分割協議書の作成、相続登記までを一括して任せられるため、複雑な数次相続ほど専門家に入ってもらう価値が大きいと言えます。費用はかかりますが、自分たちで何か月も労力を費やすことを思えば、結果的に負担を軽くできるケースも少なくありません。まずは状況を整理し、どこに相談すればよいか分からないときは、お気軽に私たちにお声がけください。

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