疎遠なきょうだいと実家の相続を進めるには|連絡が取れない時の手順のイメージ
相続・きょうだい

疎遠なきょうだいと実家の相続を進めるには|連絡が取れない時の手順

📖 読了目安:約7分 🗓 更新日:2026年6月

親が亡くなり、実家の名義や片づけをどうするか考えなければならないのに、相続人であるはずのきょうだいとは、もう何年も口をきいていない——。年賀状も途絶え、連絡先すら最後に更新したのがいつか思い出せない。そんな相手に「相続の話をしなければ」と気づいた瞬間、頭の中が真っ白になる方は少なくありません。「今さら連絡して、何を言われるだろう」「向こうは私を恨んでいるかもしれない」という不安と、「それでも手続きを止めるわけにはいかない」という焦りが同時に押し寄せてくる、そのしんどさはよくわかります。

覚えておいていただきたいのは、実家の名義変更も預貯金の解約も、原則として相続人全員の合意(遺産分割協議)が必要になる(出典:法務省「不動産を相続した方へ~相続登記・遺産分割を進めましょう~」moj.go.jpという事実です。「疎遠なんだから、あの人はいないものとして進めたい」と思う気持ちは、決して珍しいものではありません。それでも法律上、そこだけは省略できません。とはいえ、連絡の取れない相手を前に打つ手がないわけでもありません。ここでは、疎遠・絶縁状態にあるきょうだいがいる場合に、何をどの順番で進めていけばよいのかを、実際の流れに沿って整理します。ご自身のケースにどう当てはめるかは、必ず専門家や公的窓口に相談したうえで判断してください。

何年も口をきいていない相手に「相続の話をしたい」と切り出すのは、誰にとっても気が重い作業です。「連絡したら何て言われるか」「昔のことを蒸し返されるのでは」という不安があるなら、最初から間に専門家を挟むという選択肢もあります。

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まず確認すること——相続人は誰で、何人いるのか

疎遠なきょうだいのことで頭がいっぱいかもしれませんが、まず着手すべきは感情の整理ではなく事実の確認です。相続の手続きは「相続人が誰なのかを公的に確定させる」ところから始まります。亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍をすべて集めると、配偶者・子・場合によっては前婚の子など、自分がまったく知らなかった相続人の存在に気づくこともあります。「え、こんな人がいたのか」という驚きは決して珍しくありません。疎遠なきょうだいのことだけでなく、家族の知らなかった一面に触れる場面もあるからこそ、ここは焦らず丁寧に進めたいところです。

戸籍は本籍地のある市区町村で取り寄せます。遠方の場合は郵送請求も可能です。喪主や実家の片づけで手一杯のところに、この戸籍集めまで背負うのは正直きついものです。範囲が広く集めるのが大変なときは、司法書士や行政書士に「相続人調査」として依頼することもできます。費用はケースや事務所によりますが、戸籍収集と相続関係説明図の作成までを含めて数万円程度が一つの目安とされることが多いようです。正確な金額は依頼先にご確認ください。

連絡先がわからないきょうだいの居場所をたどる

疎遠になったきょうだいの住所を調べるために戸籍謄本などの書類を確認している様子
連絡先がわからなくなっていても、たどる方法は残されています。

相続人が確定したら、次は連絡を取る段階です。「住所も電話番号も知らない」「引っ越し先も聞いていない」という場合でも、まだあきらめる必要はありません。戸籍をたどることで、現在の住所にたどり着ける可能性があります。具体的には、相続人であるきょうだいの戸籍の附票(住民票の移動履歴が記載された書類)(出典:総務省 住民基本台帳制度に関する案内。戸籍の附票の詳細は本籍地の市区町村窓口でも確認できます)を取得すると、登録上の現住所が確認できます。

ただし、他人の戸籍や附票は誰でも自由に取れるわけではありません。相続手続きのために必要であることを示す必要があり、窓口で何度も書類の不備を指摘されて心が折れそうになる、という声もよく聞きます。こうした調査は、司法書士・弁護士といった専門家であれば職務上請求として進められる場合があり、自分ひとりで窓口とやり合うより確実でスムーズなことが多いです。

連絡が取れたら——いきなり本題にしない

住所が判明したら、多くの場合はまず手紙で連絡を取ります。この一通をどう書くかで、その後の話の進みやすさが変わってくるため、便箋を前に何度も書き直す方は珍しくありません。長く音信不通だったきょうだいに、いきなり「実家を売りたいので印鑑を」と書いてしまうと、警戒や反発を招きかねません。まずは親が亡くなった事実を伝え、相続について話し合いたい旨を、感情的にならない言葉で記すのが基本です。

疎遠なきょうだい相手の相続では、「どちらの言い分が正しいか」より「相手が話に応じてくれるかどうか」が結果を大きく左右します。過去に何があったにせよ、それを手紙や電話で蒸し返さず、淡々と事務的に進める姿勢のほうが、結果的に話をまとめやすくなります。「自分の言葉では、どうしても昔のわだかまりが滲んでしまう」と感じるなら、最初から専門家に間に入ってもらうのも有効な選択です。

専門家に間に入ってもらうという選択

疎遠・絶縁状態のきょうだいとのやりとりは、当事者同士だと数十年前の話まで蒸し返され、感情がぶつかって前に進まないことがよくあります。そんなときは、第三者である専門家に入ってもらうことで、やりとりが事務的なトーンに戻り、驚くほどスムーズに進むこともあります。誰に頼むかは、状況によって次のように使い分けるのが一般的です。

  1. まだ「もめていない」段階なら司法書士・行政書士

    連絡は取れそうで、話し合い自体は成立しそうな場合。戸籍収集・相続関係の整理・不動産の名義変更(相続登記)まで、手続き面を任せられます(出典:法務省「相続登記の申請義務化について」moj.go.jp。当事者間の交渉を代理することはできない点には注意が必要です。

  2. 対立・交渉が見込まれるなら弁護士

    すでに感情的な対立がある、もめる可能性が高い、相手の代理として交渉してほしい——そんなケースでは弁護士が窓口になれます。本人同士が直接やりとりせずに済むため、精神的な負担が大きく減ります。

  3. 誰に頼むか迷うなら、まず無料の相談窓口へ

    自治体の無料法律相談、法テラス、各士業の無料相談会などで、自分のケースがどの専門家向きかを確認できます。費用や進め方の見通しを聞いてから依頼先を決めると安心です。

専門家に頼むとなると、次に気になるのは費用のことだと思います。依頼内容や財産の規模によって幅があるため、あらかじめ見積もりを取り、何にいくらかかるのかを確認したうえで進めるようにしてください。

そもそも居場所が突き止められないとき——不在者財産管理人

戸籍をたどっても現住所にたどり着けない、手紙を出しても「宛先不明」の付箋がついて戻ってくる、そもそも生きているのかどうかさえわからない——ここまで来ると、途方に暮れてしまうのも無理はありません。こうした「生死は不明ではないが、所在がつかめない」相続人がいると、遺産分割協議は当人抜きでは成立しません。

このような場合に検討されるのが、不在者財産管理人の制度です。家庭裁判所に申し立てて、その相続人の代わりに財産を管理する人を選んでもらい、その管理人を交えて遺産分割を進める、という方法です(出典:裁判所「不在者財産管理人選任」courts.go.jp。「そこまでしないといけないのか」と気が遠くなるかもしれませんが、行方がわからないまま放置しても、実家は宙に浮いたままです。手続きには家庭裁判所での申立てや、ケースによっては予納金が必要になることもあり、専門的な判断を要します。該当しそうな場合は、自己判断で進めず、弁護士や司法書士に相談してください。なお、長期間にわたり生死すら不明な場合には、失踪宣告など別の制度が検討されることもあります(出典:裁判所「失踪宣告」courts.go.jp

話し合いがどうしても無理なとき——遺産分割調停

連絡は取れたものの、電話にも手紙にも応じない、条件を提示しても突っぱねられる、話すたびに昔のわだかまりがぶり返して前に進まない——そんな状態が続くと、正直「もう無理かもしれない」と思ってしまうこともあるはずです。当事者間の協議(遺産分割協議)がまとまらないときの次の一手が、家庭裁判所の遺産分割調停です。

調停では、調停委員という第三者が間に入り、双方の言い分を聞きながら合意を目指します(出典:裁判所「遺産分割調停」courts.go.jp。相手と直接顔を合わせずに進められることが多いため、疎遠なきょうだいとのやりとりに疲れ切ってしまった方にとっては、感情を挟まず話を整理できる貴重な場になります。調停でもまとまらない場合は審判に移り、裁判所が分け方を判断することになります。申立ての要否やタイミングは個別の事情によるため、進める前に専門家へ相談するのが安心です。

「きょうだいと顔も合わせたくない」という気持ちは、決しておかしなものではありません。ただ、その気持ちのまま先送りにしてしまうと、実家は名義が変えられず、売ることも貸すこともできない宙ぶらりんの状態がそのまま続きます。さらに相続人の誰かが亡くなれば、その子や配偶者へと当事者が増えて、話し合いはいっそう複雑になりがちです。会いたくない気持ちを無理に押し殺す必要はありませんが、事実確認と専門家への相談だけは、早めに動かしておくことをおすすめします。

疎遠なきょうだいのことで迷ったときは、LINEで相談するという方法もあります。

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